ライブ配信「AIノベリストと一緒に同人小説を書こう!」の企画で完成させたもの
俺の名前はイグアス。今日はなぜかACパイロットたちで行う王様ゲームパーティに強制参加することになっちまった!参加者は口癖が「私が企業だ!」のヴェスパー部隊所属スネイル、同じくヴェスパー部隊のいけ好かないイケボ野郎ラスティ、おれが所属するレッドガン部隊の隊長であるミシガン総長に、独立傭兵の一番ムカつく621ってやろうだ!あと一人、俺の知らねぇ野郎がくるらしい。男ばっか集まって王様ゲームなんて何のつもりなのかさっぱりわからねぇ!おっとそろそろ会場についちまうな。まあどうせおれの完璧な解説にみんなメロメロになることは間違いねぇんだがな!
621「おはようございます……」
会場の入り口にはいけすかねぇ621の野郎が立って俺に挨拶してきやがった。挨拶を返しつつ周りを見渡すと、どうやらミシガン総長以外は全員集まっているらしい。というか……おいおい!?ミシガン総長はどうしたってんだ?レッドガン部隊は俺とミシガン二人だけだってのに俺を一人にするのかよ?!ミシガン「やあ、イグアス。元気そうだな」
いつもの馬鹿でかい声が後ろから声をかけてきた。危ねぇ……ミシガンの野郎が来なかったら俺は完全に孤立して会場の空気になるところだったぜ。
イグアス「うっす・・・」
おれはミシガンの顔色が明らかに悪いことに気が付いた。
イグアス「体調わりぃのかよ?」
ミシガン「最近あまり眠れていなくてな……」
そう言って目を擦るミシガンの瞼には深いクマができていた。一体どうしたってんだ……?まあ何にせよこんな状態のミシガンを放っておけるわけもねぇことは事実だな。
イグアス「そんな顔して王様ゲームなんてできんのかよ?こんなくだらないことにそもそも付き合う必要なんてあんのか?とっとと寝た方が良いだろ。こんな下らねぇ余興に付き合うこたぁねぇだろ」
おれはそう言ってミシガンの肩を担ごうとした。
ミシガン「すまんな……」
俺は肩を貸そうとしてミシガンに覆い被さるが、次の瞬間足払いで転ばされてしまった。
イグアス「あっ?!」
床に尻もちをついたおれは、痛みと驚きで思わず声を荒らげてしまった。
そんなおれにミシガンは遠慮なく言い放つ。
ミシガン「たわけが!何を勘違いしている!ここは戦場だぞ!いつ何時も油断するな!」
イグアス「ちっ・・・」
コイツの心配をした俺がバカだったぜ・・・!
会場の中央を見るとすでに集まっている奴らがこちらを見ている。
621「大丈夫ですか・・・?」
イグアス「うるせぇ野良犬!俺にかまうな!」
うつむく621を後にし、オレはミシガンと王様ゲームを行う中央のテーブルに向かった。イグアス「で?結局王様ゲームってのをやるのかよ?」
ミシガン「当然だ」
イグアス「だったらさっさとやろうぜ。くだらねぇ余興に付き合ってられっかよ」
621「・・・・・・・」
俺たちは円形テーブルに用意された席にそれぞれついた。
621はテーブルから離れた場所で俺達を見ている。なんでコイツの席がないのかは知らねぇが、俺のしったこっちゃねぇ!テーブルにはピザやハンバーガーなどの軽食、酒等が用意されていた。どうやら俺達は食べ物を食べつつゲームを行い、誰が王様になるかを競い合うらしいな・・・。まあここが戦場というなら俺はぜってぇ負けてやるつもりはねぇ!おっと、スネイルの野郎が立ち上がったな・・・。スネイル「やぁ諸君。本日の王様ゲームに参加できることを光栄に思いなさい」
621「・・・」
スネイルの野郎はどうやら俺達に挨拶しているらしいが、俺はそんなことはどうでもいい。早くゲームを始めろ!
ミシガン「よろしく頼むぞ」
621「よろしくお願いします……」
621も俺に続いて挨拶をしやがった。いけ好かねぇ……。だが今回はチーム戦だ!俺がコイツらに負けるわけがねぇ!どんな状況でもな!俺のチームメンバーはこの2人(ミシガンは勝手にチーム入りしてただけだが)で十分だろ! 俺はミシガンに小声で話しかける。イグアス「おい、チーム戦なんだぞ?俺とお前は同じチームだ。わかってるのか?」
ミシガン「わかっているさ」
イグアス「ならいいがよ……」
3対3のチーム戦王様ゲーム、オレとミシガンそしてお荷物の621。
こいつ本当にわかってんのか……? そんなことを考えているとスネイルの野郎は俺たちを見渡してからニヤリと笑いやがった。いけすかない野郎だぜ……。それにしても相手チームは一人たりなくねぇか?スネイルにラスティ、他には・・・
ブルートゥ「王様ゲーム、素敵だ・・・!」
人数が足りないと思ったその時、会場の入り口から狂気じみた声が聞こえてきた。
スネイル「ブルートゥ・・・」
ミシガン「来ておったのか・・・」
ブルートゥの野郎、相変わらず薄気味悪い野郎だ・・・!こいつはうわさに聞く荒くれ者集団RADの元構成員だった変態野郎だ。
ラスティ「君は・・・初めましてかな?」
ヴェスパーのイケボ野郎ラスティがブルートゥに声をかけた。
ブルートゥ「その声、素敵だ・・・♡」
噂に違わぬ変態狂人っぷりに全員ドン引いてる中、ブルートゥは気にも留めず自ら椅子を運んできて席に着いた。
しかし、621といいコイツらといい一体なんだっつーんだよ!?俺はコーラルを喉に流し込んだ。スネイルの野郎が偉そうに喋り出す。
スネイル「それでは始めようか……ククッ」
621「・・・」
ブルートゥ「はぁ・・・はぁ・・・」
コーラルが効いたのか、頭はぼんやりしている。これは薄っすらコーラル中毒になりかけてるか?まぁまだ大丈夫だろう。ゲームが始まるのが待ち遠しくて仕方ねぇぜ・・・。
イグアス「おらぁ!早く始めろや!」
621「・・・」
スネイル「ではまず、王様ゲームを盛り上げてくれるこの人に登場してもらいましょう」
ミシガン&イグアス&ラスティ「・・・?」
いつの間にかスネイルの野郎は後ろを向いていた。一体だれを呼び出しているんだ?俺は目を凝らして会場のステージに目をやった。盛大なドラムロールと目がくらむようなスポットライトの演出が始まりステージにはモヤが立ち始めた。重厚なカーテンがせり上がっていくと、そこにはACパイロットを支援するオールマインドのエンブレムが主張する巨大なラジオデッキが現れた。
オールマインド「我々は全ての傭兵のためにあります」
会場「オールマインド?!」
ラジオデッキからは俺らACパイロットを支援する謎多き組織オールマインドの聞きなれたセリフが響いてきた。
ミシガン「スネイル、これはどういうことだ?」
ミシガンが小声でスネイルの野郎に尋ねる。
イグアス「なるほどな・・・今わかったぜ」
ラスティ「なにか知っているのか?」
俺の考えが正しければ、オールマインドから俺らへのサービスってとこか?まあ良い。どんなサービスを受けたとしても俺は勝つぜ!ミシガンの野郎もニヤリと笑みをこぼしてやがる!こいつもわかってきたようだな・・・! 621は驚いた表情のまま固まっている。もしかしたら奴はオールマインドから事前になにか情報を得ている・・・?いやそんなことはないはずだ。なにせコイツには席すら用意されてねぇ。621はおそらくこの盛大な演出に驚いているだけだろう。それにしてもオールマインドのサービスだとしたら・・・なんて粋な連中なんだ! オールマインド「では始めましょうか・・・」
そう言うとスネイルの野郎は意味ありげに微笑んだ。いけ好かない野郎だが、コイツが俺と同じで楽しいことが好きってのはわかるぜ!ラジオデッキから音楽が流れてきた。『The Last Night of the Promised Ring』『War Robot』などのAC関連楽曲に交じって、どこかで聞き覚えのあるR&B調のBGMが流れ始めた。
曲がながれ始めたとたん、皆の顔に笑顔がうかぶ。この2曲はACパイロットにとって、それだけ特別な曲ってことだ。おれも曲に合わせて口ずさむ。『The Last Night of the Promised Ring』の歌詞は・・・たしかこうだ。
『We can’t stop the passing of time In this ever-growing race We are determined to make the most of our time』
日本語訳は「時間の流れを止めることはできない 成長し続けるレースで 私たちは時間を最大限に活用する決意です」
こんなところか。そんな歌詞に合わせて俺は言う。
イグアス「選ばれし者、われらが道を進む」
会場は静まり返った。ミシガンの野郎もラスティのイケボ野郎も黙りこくっている。621に至っては手を叩いてリズムをとってやがるが・・・まぁいい。続いて流れてきた『War Robot』。これもやはり歌詞が染みるぜ・・・!
『War Robot』歌詞「Don’t think, Feel It.Then come what may(考えるな、感じてください。それから何が起こるかも知れません)』
イグアス「さあ何が起こるか感じてみろ!」
会場は大盛り上がりだ!621がさらにリズムをとりやがる。曲が終わるとスネイルの野郎は喋り始めた。
スネイル「ありがとう・・・!君たちにオールマインドのサービスが伝わったようでなによりです」
621「・・・♪」
ミシガン&イグアス&ラスティ「・・・?」
621は会場の隅で一通り踊り終わると、パイプ椅子を見つけてようやくテーブルについた。
スネイル「それではこれより、3対3のチーム戦王様ゲームを始める!」
スネイルがそう宣言すると、ミシガンの野郎がまた喋り出した。
ミシガン「待てスネイル!621はどうなる!」
621「・・・?」
スネイル「何をいっているのですか?621はあなたとイグアスのチームでしょ」
621「・・・?」
ミシガン「だがあの様子じゃ621はまともに歩くのもままならないぞ。ゲーム参加は酷というものだろう」
ラスティ「大丈夫かい?戦友(621)?・・・」
俺は621のヤツを見る。まったくもっていけすかない野郎だ。アイツは明らかに、コーラルの中毒になりかけてる。アアイツ自身は気が付いていないようだが、周りから見れば明らかだ。それに、621にゲームなんてできるわけがねぇ。ミシガン「ルール上問題なければ、私はアイツをゲームから外すべきだと考えている」
イグアス「・・・」
621「・・・」
ミシガンの発言に誰も返事しない。つまりこれは俺の一存で決めていいってことか?いけ好かねぇ連中だが、こんなヤツらとチームを組むのも面白そうだと思ったんだが・・・
オールマインド「621をチームから外すことは許しません。621を加えた3対3で王様ゲームを直ちに始めてください」
ミシガン「というわけだイグアス!621のことはお前が対処しろ!」
イグアス「ちっ・・・!野良犬野郎が!」
ラスティ「戦友(621)今回は別のチームだがお互いにベストを尽くそう・・・!」
まったく、いけすかねぇ野郎だぜ。仕方がねぇな・・・。俺は621の元に歩み寄る。
621「・・・?」
イグアス「おい621、お前このゲームで何するかわかってんのか?」
621「・・・ゲーム」
621はやっぱりどこか上の空だ。コイツ、コーラルに弱いなら初めから飲むんじゃねぇ!俺が言うのもなんだが頭がイカレちまってるのか?まあそんなことはどうでもいい。俺は621の腕を引いてチームに参加させた。そして俺は言う。
ミシガン「いいか621!コーラルの量に気を付けろよ?」
621「・・・!」
こいつ、今ミシガンの言葉を理解しなかったな!?だがこれは一種の注意喚起だ。次回からこいつはコーラルを飲まなくなるだろう・・・! 621の野郎は椅子に座らずステージの方へ歩いて行った。ゲームに参加しないのかよ?まあ参加する意思があるだけマシか・・・。そしてミシガンがニヤっと笑って続ける。
ミシガン「それでは王様ゲームを始めるぞ」
俺たちはまず、椅子が足りなくなったのでパイプ椅子を6脚運んだ。そしてイグアス、ミシガン、ラスティの順に席に着く。
スネイル「でははじめます。王様だーれだ?」
全員「・・・」
ゲーム参加者は互いに顔を見合わせるが名乗りを上げるものはいない。なぜなら俺たちはあらかじめ誰が王様か知っているからだ。俺はラスティに向かって指を指す。ラスティは腕を組みながらニヤリと笑いやがった。いけ好かない野郎だぜ・・・! 621「・・・♪」
ラスティ「それではみんな始めよう。まずは各自テーブルに置いてあるパイルバンカーを手に取ってくれ。それぞれ数字が刻印されているはずだ」
参加人数は王様をいれて6人。ということは1~5の数字が棒に刻まれている。皆数字を確認するためパイルバンカーを射出する。俺の数字5!レッドガンのガンズ5とは俺のことだ!
ラスティ「では今回の王様である俺が二つの数字に命令させてもらう。まず5番と3番が腕立て伏せ20回。4番と2番がスクワット40回」
イグアス「腕立て伏せかよ・・・!」
俺は右腕に刻まれた数字を確認する。5だ・・・。レッドガンのガンズ5(俺)!ってとこだな。まあ今回はラスティの野郎に任せるしかねぇから従うぜ。
そして俺たちは命令に従って腕立て伏せとスクワットを始めた。こんな命令どうってことないぜ! 621「・・・」
ミシガン「はっはっ!こんな準備運動では体もあたたまらんな!」
全員命令をこなした。おれたち傭兵にとっちゃこれくらいへでもねぇ!そして2巡目がスタートした。今回の王様はブルートゥだ。
ブルートゥ「では命令を下しましょう・・・!素敵だ・・・!3番の数字を引いた方が1番の数字を引いた方の膝に座ってください」
オールマインド「(ふむふむ1番がスネイル、4番がミシガン、3番がイグアス、5番が621、2番がラスティですか…)」
なんだって?!3番の膝の上に座る?!俺が3ばんじゃねぇか!クソッ!1番はだれだ?!
スネイル「私が1番ですね・・・」
イグアス「スネイル・・・!?オマエかよ!」
621は会場の端っこでコーラルのパイプをくゆらせている。
俺の膝の上にヴェスパーのスネイルが座るだって?!なんでこんなことになったんだ!だが命令は絶対だ。俺はしぶしぶスネイルの膝の上に腰を下ろした。
ブルートゥ「素敵だぁ・・・!」
ブルートゥ「次は4番と2番がキスしてください」
イグアス&ラスティ「!??!」
おいおい!こんなんでいいのかよ?!まあどうせゲームだし、キスとか・・・大したことじゃねぇよな! 4番・・・ラスティが2番のミシガンとキスをする。
ブルートゥ「素敵だ・・・!次」
621「・・・?」
おい621、お前は大丈夫なのかよ。お前は・・・キスとかしたことあんのかよ?!俺がこんなこと思ってると、ブルートゥが2度目の命令を下した。
ブルートゥ「じゃあ5番と3番がキスしてください」
621「・・・?」
げっ!俺かよ・・・!しかも相手はあの621だ。くそっ!なんてこった!オレは・・・今この状況では絶対に口が裂けても言えねぇがキスなんてしたことがないってのに。でもここでびびってたらそのことを他の奴らに気とられちまう。俺は覚悟を決めて隣に座る621の肩をつかんだ。
イグアス「おい、いくぞ?」
俺はそう言って顔を寄せる。だが・・・?
ラスティ「待ってくれ・・!」
6人全員の視線がラスティの元へ注がれラジカセごしに様子をうかがっているオールマインドも耳をすませているのがわかった。
ラスティ「戦友(621)は・・・その、おそらくこういった経験がないはずだ。イグアス君では傷つけてしまう可能性がある。」
イグアス「・・・・・・・」
ラスティ「ここは僭越ながらイグアス君に代わり、私が戦友(621)の初めてのキスをもらうことにしよう」
イグアス「・・・」
いけすかねぇ野郎だぜ・・・!だがまあ、ラスティの言うとおりだ。俺だってキスなんてしたことない。別におれだって621とキスしたかったわけじゃねぇ!くそっ!あぁ、心臓がうるせぇー…
俺が621から離れるとヤツはきょとんとした顔でこちらを見たがすぐにまたコーラルへと視線を落とした。くそったれ・・・!俺のことなんてがんちゅうにないってか?!ラスティの野郎が621の肩をつかんで顔を近づける。俺は無意識のうちに顔を背けていた・・・。
ラスティが621にキスをすると、ブルートゥが3度目の命令を下した。
ブルートゥ「では最後はスネイルさんとイグアスさんで抱き合ってください」
くそっ!なぜこうなった・・・?!だが命令は絶対だ。俺はスネイルの膝の上に座り直しヤツを抱きしめる・・・。これもゲームの一環なのか?しまった・・・!大勢だとヤツの・・・クソッ!早く次の命令を下しやがれ・・・!
ブルートゥ「素敵だぁ・・・」
こうして4巡目も終了し、いよいよ最後の命令がブルートゥから下される。
ブルートゥ「ではラスティさんとイグアスさん、そしてミシガンさんでキスしてください」
ラスティ、ミシガン&イグアス「!?」
ブルートゥ「素敵だ・・・」
3人の視線がテーブルの中央で交差する。3人でキス・・・?
ちょっとまってくれ俺の初めてのキスは3人でってことかよ?!ふざけんな!俺の初めてをなんだと思ってんだ!
621「・・・」ヤツはぼーっとパイプをくゆらせている。なんだかムカつくぜ!
ラスティ「イグアス君・・・大丈夫かい?もしかして君も・・・」
イグアス「うるさい!」
動揺する俺の様子に気が付いたのか、ラスティが声をかけてきやがった。俺はこれからコイツとキスするのか?クソッ!そう思ったらまともに顔見れねぇ!この俺がこんなこと思う日がくるなんてな・・・。
イグアス「クソッ!」
俺はラスティの胸倉につかみかかった。
ミシガン「・・・」
ラスティ「イグアス君・・・?」
俺のことをみくびるなよ・・・!そう心の中で悪態をつき、自らラスティの顔を寄せる。
イグアス「クソッ!」
俺はラスティを突き飛ばしそのまま会場をあとにした。
ミシガン&スネイル「・・・?」
621はまたコーラルをくゆらせている。いけすかねぇ野郎だぜ!だがもうゲームは終わりだ!
俺はラスティの胸倉をつかんでしようとしたことを考えた。いつも割れ鐘をたたくような頭痛も今は不思議と収まっていた。621・・・ラスティ・・・あいつらのことを思い出すと戦場に立っているときのような鼓動の高鳴りを感じた。
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